瀧ノ上 千鶴
越前 紙漉き
紙は、水の引きぎわで決まります。朝いちばんの冷えた水が、いちばん素直です。
福井県越前市、瀧ノ上製紙所の四代目。光王の奉書と落水を漉く。道具は祖父の代の簀桁。
越前と美濃の紙、木曽の檜。手でつくる和紙行灯、光王。
今日の候楓蔦黄もみじつたきばむ
光王 KŌŌA hand-made washi andon, for the hour before you notice the dark.
型 三種受注生産 四十日¥72,000 より
夕方、部屋が暗くなったことに、いつも少し遅れて気づく。
光王は、その少し手前で、ひとりでに灯ります。
行灯は、もともと夜を明るくする道具ではありませんでした。
手もとの一尺だけを照らし、部屋の隅には闇を残す。その闇ごと、暮らしのなかに置かれていたものです。
私たちがつくりたかったのは、部屋を照らす照明ではなく、日が暮れることを楽しみにする理由でした。
越前の奉書、美濃の薄紙、木曽の檜。そこに、ゆらぐ小さな火種をひとつ。
いちばん小さな光に、
いちばん大きな名を。
光王と書いて、こうおう。
“Light King”, spelled the old way, and given to a light of fifty-eight lumens.
三つのものだけで、
できています。
樹脂も、接着剤の匂いも、説明書きの金具もありません。古くなったら紙を張り替え、木は手の脂で艶を増します。捨てるところが見当たらない道具にしたいと考えました。
越前と美濃で漉いた、楮百パーセントの生漉き紙。長い繊維が光を散らし、火の輪郭をほどきます。
Paper — pure kōzo mulberry, handmade
木曽の檜を柾目に挽き、釘を使わず組み、拭き漆を三度。使うほどに、手の触れる角から艶が出ます。
Wood — Kiso hinoki, three coats of wiped urushi
独自の光源「火種」。一八〇〇Kの蝋燭色から三〇〇〇Kまで。五十八ルーメンに、菜種油の炎を写した揺らぎを載せています。
Flame — 1.2 W, 58 lm, a flicker taken from a rapeseed-oil wick
顔よりも、
手の道具を。
写真は固くお断りされました。代わりに、いちばん長く使っている道具を描かせてもらいました。
越前 紙漉き
紙は、水の引きぎわで決まります。朝いちばんの冷えた水が、いちばん素直です。
福井県越前市、瀧ノ上製紙所の四代目。光王の奉書と落水を漉く。道具は祖父の代の簀桁。
美濃 紙漉き
光にかざして初めて、失敗がわかる紙です。だから全部、かざします。
岐阜県美濃市、長瀬紙工房。向こうが透ける薄美濃を漉く。道具は馬毛の撫で刷毛、二十六年目。
美濃 指物・組子
一分の狂いは、灯したときに影になって出ます。
岐阜県美濃市、井出指物店。枠と組子をすべて手で組む。道具は師から譲られた小鉋。
工程 絵巻
右から左へ、巻をひらきます。
霜の降りるころ、葉を落とした楮を刈る。束ねて蒸し、皮をはぎ、雪にさらす。
木灰の灰汁で、二時間あまり煮る。皮はほどけ、紙になる繊維だけが残る。
汲み、揺らし、捨てる。繊維は水の動きのとおりに絡む。いま下へ送っているその手が、簀桁を揺らしています。
一枚ずつ栃の板に張り、冬の日に干す。日の光で、紙は少しだけ白くなる。
檜を一分の細さに挽き、釘を使わず組む。鉋屑だけが、仕事の跡に残る。
紙を張り、霧を吹く。乾くと太鼓のように張る。暗室で一灯ずつ検め、落款を押す。
一灯に、四十日。
Forty days, one lantern. A hundred a season, because paper is made in winter.
波は、どこまでも。
青海波。穏やかな波が、終わりなく続きますように。
麻の葉は、まっすぐに。
光王の裾に組む麻の葉。釘を一本も使わず、檜の細木だけで咲かせます。
そろそろ、灯ります。
漉くときに紙を薄くして入れた、LightKing の印。昼には見えず、灯したときにだけ紙の奥に現れます。
菜種油の炎を写した揺らぎ。一晩のあいだ、同じ揺れは繰り返しません。
五十八ルーメン。本が読めるのは、手もとの一尺まで。それ以上は、明るくしません。
どこかをクリックして、どこかに触れて、息を、そっと吹きかけてみてください。
置く場所で、選ぶ。
四方に同じ明るさを送る、いちばん素直な形。部屋のまんなかに置けます。
曲げ木の輪に、紙を一枚で巻く。継ぎ目は一つだけ。光に角がなく、壁に落ちる影がやわらかい。
夜明けまで灯しておくための、枕もとの一灯。月の窓から、細い光だけを漏らします。
| 項目 | 角行灯 | 丸行灯 | 有明 |
|---|---|---|---|
| 寸法 | 幅 220 × 奥 220 × 高 480 mm | 径 240 × 高 420 mm | 幅 180 × 奥 180 × 高 300 mm |
| 質量 | 2.1 kg | 1.8 kg | 1.2 kg |
| 木部 | 木曽檜 柾目、拭き漆三度仕上げ | ||
| 光源 | 火種 1.2 W 58 lm 1800〜3000 K | ||
| 自動点灯 | 部屋の明るさが 30 lx を下回ると、四分かけて灯ります | ||
| 電源 | 布巻きコード 2 m、AC 100 V アダプター付属 | ||
| 価格 | ¥88,000 | ¥96,000 | ¥72,000 |
埃は、乾いた柔らかい刷毛で払ってください。
水拭きはしません。漆は、乾いた布で撫でるだけで艶が出ます。
紙は消耗品です。破れても、焼けても、五年間は無償で張り替えます。
受注から四十日ほどで、杉の箱に納めてお届けします。紙は冬に漉くものなので、ひと冬に百灯までとしています。
国内は全国無料です。沖縄と離島は、到着までもう数日お待ちください。海外へのお届けは、いまのところ承っておりません。
よくあることです。そのまま枠ごと送ってください。五年間は無償、その後は一面 ¥6,600 で張り替えます。破れの形を気に入られた方には、継ぎ紙もいたします。
楮の紙は、日に当たるとゆっくり生成りへ寄っていきます。五年ほどで、灯の色がひとまわり深くなります。変わるのが嫌な方は、北向きの部屋へどうぞ。
一灯ずつお作りするため、お客様のご都合による返品は承っておりません。届いたときの破損や不具合は、到着から十四日以内にご連絡ください。
hello@lightking.example まで。返信は、職人と相談してからになることがあります。